現行のイスクイル(2011年版 Ithkuil)の後継言語である「イスクイル 2020 (a.k.a TNIL)」を勉強します。
イスクイルの作者ことJQが新文法を製作しているので、勉強の過程を残しておこう、という試みです。
前回書いたv0.12を修正するのが面倒なので新しくv0.16版の記事を書きました。
※「新イスクイル」は執筆現在作成途中ですので、常に最新の情報を参照してください。
この記事では、
- morpho-phonology v0.16
- lexicon roots v0.4.1
- affixes v0.7.1
を参照しています。
Slot 5の話はノート1に移動しました。
一応ノート4まで出す予定。
- ノート1: Slot 5, 6, 7
- ノート2: Slot 9, 14
- ノート3: Slot 12 (case) (v0.17.2)
- ノート4: Slot 12 (illocution+expectation+validation)
とりあえずこれらをやれば最低限のithkuil文が書けるはず。
- Slot VIII 形態論概要
- Slot XIV
Slot VIII 形態論概要
Slot VIIIは形状(Configuration)、所属(Affiliation)、外延(Extension)、観点(Perspective)、真髄(Essence)によって決められる子音クラスタ。
旧文法にもあった概念なので余裕…と思ったら所々差異があり、かつ新文法に説明がないので全部は分かりません。
形態論は規則的になったのでかなり楽になった。形状、外延、所属、観点+真髄の各要素に対応する子音を並べてSlot VIIIを構成する。音素列的には規則的になったっぽいのでかなり楽になった(と思う)。
Slot VIII 一覧(青字は新文法で新たに登場した名前):
- 形状(Configuration)
- UNIPLEX
- UXS SPECIFIC
- DUPLEX (SEP Separate, CND Connected, FSD Fused)
- DPS Similar
- DPD Dissimilar
- DPF Fuzzy
- MULTIPLEX (SEP Separate, CND Connected, FSD Fused)
- MPS Similar
- MPD Dissimilar
- MPF Fuzzy
- UNIPLEX
- 外延(Extension)
- DEL Delimitive
- PRX Proximal
- ICP Incipient
- ATV Attenuative
- GRA Graduative
- DPL Depletive
- 所属(Affiliation)
- CSL Consolidative
- ASO Associative
- VAR Variative
- COA Coalescent
- 観点(Perspective)
- M Monadic
- P Polyadic
- N Nomic
- A Abstract
- 真髄(Essence)
- NRM Normal
- RPV Representative
形状(Configuration)
- 単数(UNIPLEX)
SPECIFIC | [zero] |
- 双数(DUPLEX)
Similar | Dissimilar | Fuzzy | |
Separate | rt | rn | řt |
Connected | rk | rň | řk |
Fused | rp | rm | řp |
- 複数(MULTIPLEX)
Similar | Dissimilar | Fuzzy | |
Separate | t | n | lt |
Connected | k | ň | lk |
Fused | p | m | lp |
正直なんもわからん。現時点では。
外延(Extension)
Delimitive | [zero] |
Proximal | s |
Incipient | š |
Attenuative | f |
Graduative | ţ |
Depletive | ç |
自分の文脈的立ち位置から見た、時間的、空間的な境界を定める。
以下この表の文字は、他の形態素が全て[zero]の時のSlot VIIIの形態を表す。
全限(Delimitive)
物や動作の完全な形、全体を表す。名詞であれば、特定の部分や境界に注目せず、中立的な見方をする。動詞であれば、動作の始めから終わりまでの全体を考えるときに使う。Delimitiveな「川」と言ったら上流から下流まで、その川全体を指しているということ。
近限(Proximal)
Delimitiveとは対照的に、何か物事の一部分に居るような場合に使う。Proximalな「川」といえば、釣りをしたり遊んだりする時の部分的な「川」のイメージ。
起始(Incipent)
物事の始めに注目している場合。何かのし始め。最近の境界、開始点、名詞と動詞に直接接触可能な部分を表す。残りの境界には触れない。
終止?(Attenuative)
謎。旧文法のTerminativeなら、物事の終わりに注目している場合。名詞の場合、終わり、最終部分に注目する。過去、以前の状態は不問。
漸増(Graduative)
開始点から徐々に現れていく様子。
漸減(Depletive)
はっきりしていない、雲散霧消、尽きる、細っていく感じ。物質的にも比喩的にもフェードアウトしていく様子を表したいときに。
所属(Affiliation)
Consolidative | [zero] |
Associative | t (d) |
Variative | k (g) |
Coalescent | p (b) |
configurationとextensionがどちらもzeroのとき括弧内の音価になる。
堅固(Consolidative)
構成要素が自然に発生、存在する集合。個々の要素は機能、状態、目的、利益関係が当てはまらないか、無関係であるか、当てはまる場合は共有されている。つまり、人間の設計で主観的に定義されない。
名詞的な単語、特に単数形の名詞では基本的にこれが使われる。動詞的な単語では行為、状態、事象が自然発生していること、目的や設計などの人間の意思が入っていないことに用いられる。
人、ドア、熱さの感覚、葉っぱ、何人かの人、木の枝、岩山、雲
連合(Associative)
Consolidativeとは対称的に、個々の要素が機能、状態、目的、利益を共有していることを示す。
兵士の群れ(Consolidative)と軍隊(Associative)の対比、木立(Consolidative)と果樹園(Associative)の対比に見られる。
単数形名詞に対しては、自身の特徴、目的、思考の間で統一が図られている様を表現することができる。一意専心の人、整った岩など。
動詞の場合は行為、状態、事象が意図的であることを表す。
窓を見る(Consolidative)は特に理由もなくなんとなく見たという感じ、振り返って窓を見る(Associative)は外を見たいなどの理由があって見たいという感じ。
分化(Variative)
個々の要素が主観的に機能、状態、目的、利益に関して異なることを示す。ただしこの対立は相補的でないことに注意。烏合の衆。
道具のごちゃごちゃ、行き当たりばったり、無作為な集まり、ボロボロのグループ、機能不全のカップル、ノートの不協和音、本のごちゃごちゃ、混乱したコレクション
名詞のUNIPLEXでは自分自身と対立している男、形のない岩、混沌とした芸術品、左手と右手、など。
動詞で使う場合、複数の理由や目的のために起こる行為、状態、出来事を示し、それらの理由や目的が互いに無関係であることを示す。「何かいろんな理由があってやる」感じ。
協同(Coalescent)
個々の要素が主観的に機能、状態、目的、利益に関して相補的な関係を共有していることを示す。個々の機能は異なっているが全体を見たときにある一つの目的に向かっているということ。
どういうことだ…
観点(Perspective)
Normal Essenceの活用表
Monadic | [zero] (l) |
Polyadic | r / v (r) |
Nomic | w (v) |
Abstract | y (ẓ) |
個例(Monadic)
境界を持って具現化したもの。
多項?(Polyadic)
謎
宇宙(Nomic)
(指定された)時空間全てにおける集合的な実体。
無形(Abstract)
「〜的な性質を持つもの」
真髄(Essence)
Normal | Representative | |
Monadic | [zero] (l) | ř |
Polyadic | r / v (r) | l (tļ) |
Nomic | w (v) | m / h (lm) |
Abstract | y (z) | n / ç (ln) |
Monadic Perspective+Normal Essenceのとき、他の子音が[zero]ならlを立てる。
Monadic Perspective+Normal Essenceの(l)以外の括弧の意味がまるでわからない。
現実(Normal)
現実世界に存在するもの。現実世界の名詞、動詞を示す基本的な表現。
仮想(Representative)
空想の世界に存在するもの。Normalの対になる概念。イスクイルでは実在と想像の産物を明確に区別する。
子音交替
もろもろの理由で、ある子音の組み合わせに対しては異音が設定されている。
表記も変わるのかはちょっと分からん。
Slot VIIIの例
egukšp akšindu
道化師たちは走り始める。
PRC/EXS-‘ambulation’-BSC/DYN-MPS.FSD/ICP/VAR/M/NRM
PRC/EXS-‘buffoonery.absurdity.surrealism.eccentricity’-OBJ/STA-MPS.SEP/DEL/ASO/M/NRM-IND
G: 歩行
KŠ: 道化師、不条理芸術、シュールレアリズム
音韻変化:[V]tt→[V]nd
Slot XIV
[stress]は旧文法では指定(Designation)と関係(Relation)を表していた。
新文法では関係(Relation)とSlot 12がVcかVkか(雑に言うと名詞か動詞か)を[stress]で表すことができる。
FRAMEDが所謂副節。
Slot 12=Vc | Slot 12=Vk | |
UNFRAMED | 逆第二音節 | 最終音節 |
FRAMED | 逆第三音節 | - |