リムナンテスは愉快な気分

徒然なるままに、言語、数学、音楽、プログラミング、時々人生についての記事を書きます

全微分を図形的に理解する

※数学的な厳密性はあんまり考えていません

微分のお気持ち

微分とは?

 f z = f(x,y) みたいな関数とします。つまり、 \mathbb{R}^2\to\mathbb{R}; (x,y)\mapsto z とします。このとき、 f の全微分 df

 df = \frac{\partial f}{\partial x}dx + \frac{\partial f}{\partial y}dy
と表す。


…で、この  df ってなんぞや、となるわけですよ。ちゃんと説明してくれないと。いや大学教授も説明してくれてたのかもしれないけど覚えてないだけかもしれない。

微分で何がしたいのかというと、「x とか y をちょっと増やしたら z=f(x,y) の値がどのくらい増えるか?」を知りたいのである。
つまり、x, y を微小量( dx, dy)変化させたときの z の微小変化が dz であり、ここでいうところの df となる。

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数式的に書くと、

dz=df=f(x+dx,y+dy)-f(x,y)

の値が知りたい、というのが全微分なんだけど、それは f偏微分をつかって計算できますよ、というのが

 df = \frac{\partial f}{\partial x}dx + \frac{\partial f}{\partial y}dy

です。とても便利。

例えば、f(x,y)=-3x^2-4y^2+5xy の全微分\frac{\partial f}{\partial x} = -6x+5y, \frac{\partial f}{\partial y} = 5x-8y から df = (-6x+5y)dx + (5x-8y)dy と計算できます。


どちらかというと熱力学でやっているみたいに、df = Adx + Bdy という式が手に入ったら、 A, B偏微分  \frac{\partial f}{\partial x}, \frac{\partial f}{\partial y}dy に相当する全微分だから  f が復元できる…という使い方の方が実用的かもしれない。

なぜ偏微分を使って全微分 df が計算できるのか?

\frac{\partial f}{\partial x}fx による偏微分、つまり fx 軸方向の傾きを表します。
ということは、x 軸方向に微小量 dx だけ動かした時の f の変化量は \frac{\partial f}{\partial x}dx です。

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同様に\frac{\partial f}{\partial y}fy 軸方向の傾きなので、y 軸方向に微小量 dy だけ動かした時の f の変化量は \frac{\partial f}{\partial y}dy


(x,y) から (x+dx,y+dy) までを対角線とする平行四辺形を考えると、\frac{\partial f}{\partial x}dx + \frac{\partial f}{\partial y}dy df に一致するのがよくわかります。

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